秋月黒田城主のつぶやき

ほんわか、明るく、楽しく、でも凛と生きるための応援歌

憲政の神様

皆様、こんにちは。

コロナ禍の動向がまだまだ不透明な状況ですが、いかがお過ごしですか?

 

仕事の進め方のスタイルもリモート、在宅勤務、田舎に引っ越してのオンラインでの勤務など、一気に選択の幅が広がり、新生活様式、という風にも言われています。

 

コトバ(言葉)と、コトバにならない思い、想い、気持ち、心の動き、沈黙の持つ意味など、コミュニケーションは難しいけれど、だからこそ人間は面白いなと感じることが多く、コトバと非コトバについて考えることが多い今日この頃です。

 

林 新・堀川恵子 『狼の義 新 犬養木堂伝』(角川書店、2019年)を読み終えました。犬養毅のことを描いたノンフィクションですが、明治時代から満洲事変あたりまでを中心に憲政、政党政治、そして戦争への道に流れ込む激動の時代を、犬養毅とは別の人物を通じて語るように描かれていて、読む人を惹き込んでいく筆力がすごいなと思いながら、一気に読み進めました。実はこの本は、半ば偶然、半分必然的とも言える流れで辿り着きました。

 

先ほど最近コトバ、あるいは非コトバについて考えることが多いと言いましたが、色々と考えている時に、本当に、ポーンと、犬養毅のことが浮かび上がりました。話せばわかる、とか、問答無用とか、そういうやりとりが知られるところがありますが、現実がどうだったかはともかく、コトバを介しての何らかの人間ドラマがあるに違いないと思ったのです。知っているようで、実はあまり知らない犬養毅について、何かないか、と探している時に、堀川恵子さんのこの本に辿り着いたのです。今まで堀川恵子さんの本はその他の本を含めて複数読んでいたのもあり、すぐに手に取りました。

 

法律や政治について学んでいると、よく、人権、民主主義は闘いを経て獲得された長い歴史があると聞きます。この本からは、犬養毅や同時代の政治家、メディアの方々がそれこそ命懸けで、進歩、退歩、膠着を繰り返しながら、闘いを通じ、幾多の挫折もへながら、実現してきた現実が理解できます。そして戦争への道も描かれています。普通一般の教科書で数行で記述されることが、実は数行では説明し切れない奥深い背景が隠されています。

 

その面でのドラマもとても重く面白いのですが、一方で私が興味を覚えたのが、人の沈黙の力、ということのように思います。様々な場面で、様々な人物の沈黙があり、政治やその他の意思決定の場で、時には主役の位置を占める働きをなすことがある。その沈黙の意味を汲み取る力も試されているように思いました。そこの描写もあって、人間のドラマが一つの完成形になるとでも言えるように感じたのです。

 

さて、オンライン、リモートでのコミュニケーションはどうでしょうか。

人間にとって大切なコトバは、非コトバとともにあって、高度な観察力や温度感など複雑な要素を持つもののように考えます。

 

憲政の神様の本を通じて、色々と考えさせられる日々が続きます。

政治家の方々にも読んでいただきたい一冊だと感じました。